30Jan
痴呆症と老人ボケ、認知症といえば同じような状況を示す言葉だと思われがちですが、実は違いもあります。今回は痴呆症と老人ボケ、認知症という言葉の違いを明確にし、かつ認知症予防のためにも病名等について家族の間でぎくしゃくしないためのコツについてご紹介したいと思います。
痴呆症は認知症の以前の症状名で同じ
痴呆症は医学用語であり、以前認知症の症状を示す言葉として使われていたものです。これは2004年に厚生労働省の検討会が方針として決めたもので、変更の理由は「痴呆症」という言葉に差別や偏見を助長するニュアンスがあるというものでした。
言葉の定義としての「認知症」とは、「一度獲得した知能が後天的な脳の器質的障害のため徐々に低下する状態」を指します。
つまり「痴呆症」=「認知症」なのですが、「認知症」と「老人ボケ」はイコールではありません。老人ボケとは、高齢になるに従って脳の機能が体の他の部分と同じように自然に弱まっていくことを通俗的に表現した言葉です。決して良い言葉ではありませんが、認知症ではなくあくまで「物忘れがひどい」といった段階を示す言葉だといえるでしょう。
認知症予防や認知症の早期発見のためにも言葉の使い方は慎重に
認知症予防や認知症の早期発見のためには御本人のみならず家族との連携が非常に重要です。痴呆症という言葉が認知症に変更された理由のように、老年になって知能が低下してしまうことは自然なことなのですが、差別や偏見を受けてしまう理由になりかねないことから、本人にとっては不名誉なこと、自尊心を傷つけることと受け取りがちになります。
この時に「痴呆」や「ぼけ」という言葉を使うことは適切ではありません。あくまで医学用語の「認知症」という言葉を使用し、決して個人の問題などではなく、病気であり不可抗力なのだということを家族間で認識統一しておくと良いでしょう。
そうすることで、認知症に伴う知能の低下、記憶が薄れていくという状況にあっても御本人の自尊心をできるだけ傷つけずに、そして認知症の診断のための通院を促しやすくなるというメリットもあります。もしもあなたのご家族が認知症予防について真剣に取り組むべき状況になったのなら、まずは認知症を取り巻く「言葉」についても十分に注意を払っていただきたいと思います。
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