15Sep
65歳未満で発症する認知症を若年性認知症と言います。2009年の厚生労働省の調査によると、人口10万人に対して44歳以前が5~10人、45歳から64歳では80人~150人となっています。およそ2,000人に対して1人の割合で起こる病気で、頻度は高くありませんが、発病の平均年齢が51歳と若く、高齢になってから発症する通常の認知症と比べると、仕事や家庭で大事な役割を担っていることが多いために、直面する問題も深刻になりがちです。勤務先で仕事ができなることが多く、診断された人のおよそ7割は収入が減っています。また、家族介護の心身の負担が大きく、その約6割が抑うつ状態だという報告もあります。
その初期症状は記憶障害が一般的です。最初は、スケジュール管理がうまくいかなくなり、なれた道でも迷ったり、同じ服を着たり、同じ行動を繰り返したりといった様子が見られます。物事に対して関心や意欲がなくなるのも特徴の一つです。こうした症状があっても本人も周囲も見過ごしてしまいがちで、また異常を感じて受診しても、うつ病や更年期障害と区別がつきにくく、若年性認知症とは診断されにくいという問題もあります。やがて、例えば、度忘れを超えて会議があること自体を忘れ、ほかの人に指摘されても思い出すことができなくなります。進行すると自分のいる場所や現在の日時も認識できなくなります。
若年性認知症は、高齢者の認知症と比べて、男性に多いのが特徴で、そのおよそ4割を脳血管性認知症が占め、次いでアルツハイマー型が多くなります。アルツハイマー型は、年齢が若いほど脳萎縮が速いので、進行がより進みます。寿命が短くなるといわれています。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳溢血などの脳の血管障害が原因でおこりますが、血管障害は、糖尿病や高血圧症などがきっかけとなることが多く、生活習慣を整えることで、大きな認知症予防効果が期待できます。なるべく偏りのないバランスの良い食事を心がけ、暴飲暴食や夜更かしをさけて規則正しい生活をおくり、散歩などの適度な運動を習慣化することが大切です。また、その他の認知症予防法として、脳を刺激する指先の運動をとりいれてみるなど、なるべく友人や同僚、近所の人とのコミュニケーションをとることも大切です。
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